東京の大森山王と馬込を結ぶ場所に、通称「ジャーマン通り」と呼ばれるストリートがあります。ここは1991年までおよそ70年続いたドイツ人の街でした。今でもルーテル教会をはじめその面影が残っています。
その馬込の一角に1929年に竣工された通称「マゴメ・ハウス」と呼ばれる洋館があります。
旧帝国ホテルの設計者として知られるフランク・ロイド・ライトの弟子でもあった世界的な建築家アントニン・レイモンドの設計によるこの建物は、ドイツ系ユダヤ人商人ローゼンバーグ氏と日本女性の夫妻の住宅として建築されたものでした。
レイモンドの手による戸建て住宅としては、おそらく港の見える丘のエリスマン邸(1926竣工)に次ぐ2邸目であり、震災や戦災などを経て現存する、個人住宅として大変希少な物件です。
手入れをされていないマゴメ・ハウスが土地と一緒に売りに出されており、入札者であるデベロッパーは利潤を増やすため、おそらく建物を壊して更地にし、土地を区分して再販するものと思われるのです。
この日本人とユダヤ人にとってゆかりのある歴史的建造物を解体から守り、両民族のかけ橋となる文化センターとして再建しようと立ち上がった人物がおります。1999年に来日して以来、東京に在住し、在日ユダヤ人のみならず、震災などで窮状にさらされた日本人につねに救いの手を差し伸べてきたユダヤ教のラビ(聖職者)、ビンヨミン・Y・エデリー氏です。
エデリー氏は、東日本大震災の際、新しい礼拝所建設のために集めていた資金約6000万円をすべて東北の被災者への援助金に使い、それだけでなく、自ら毎週、現地に出向いて焼きいもの炊き出しなどさまざまな奉仕活動を行ってきました。
https://www.youtube.com/watch?v=j_mYzLu4XWU
その功労が認められて、エデリー氏は宮城県岩沼市長より感謝状が贈られたほか、2013年には日本政府より永住権が与えられ、2015年には日本政府が公認する日本初の主席ラビに就任しました。
エデリー氏は現在、大森にある拠点ハバッドハウスで、在日ユダヤ人や日本人をはじめ、イスラム教徒などさまざまな宗教や立場の人々を温かく迎えるために門戸を開いて、毎週金曜夜の安息日の食事などを無料提供してきました。
また、各種ユダヤ教のお祭りや儀式、また日本人向けのユダヤ教についての勉強会や、コーシャフードの講座などを開講し、ハバッドハウスはすでに、日本人、ユダヤ人、その他あらゆる人々のための交流の場である文化センター的な役割を担ってきました。
しかし現拠点は築50年の老朽家屋であり、また年々増える訪問者を迎えるには明らかに手狭になっている状況です。
2017年の1月15日までに1億円が集まらなければ、マゴメ・ハウスは不動産デベロッパーの手に渡ってしまうため、緊急にみなさまのお力が必要なのです。
少額の寄付でも構いません。タイムリミットまでにぜひこのプロジェクトに協力を賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。